2015年01月06日

教え育てる

しばらく前に新聞で「子供と楽しむ料理」みたいな記事を読んだ。
おもしろく形をつくって子供といっしょにかざれば興味も持たせられますとかなんとか。
実践しているご家庭の描写では、材料をぜんぶ準備したおかあさんが子供にさあ盛りつけようねと声をかけていた。
ぜんぶできあがった鍋に、成形済みの飾りをのせるだけの「おてつだい」。
これが「優良な食育」みたいに描写されていることに驚いた。
だって子供11才だよ。3才じゃないんだよ。
11歳なら切ったり焼いたり混ぜたり煮たりできるだろ。教えさえすれば。

別の日。子供が大きくなったから働くことにしたの、というパートさんとおしゃべりした。
小学校低学年の子とお兄ちゃんがいるそうで、冬休み中は昼ごはんを用意して出勤していると話していた。
あぶないから鍵は持たせていない。火も電気ポットも使わせない。大きい魔法瓶にお湯を用意しているという。
過保護だとは思ったけど人んちのことだし今時の子育て事情はそんな感じなんだろうかと思いながら聞いていたら、お兄ちゃんが大学の模試でどうのという。
え、お兄ちゃん小学生じゃないの!?高校三年生なの!?それで鍵もコンロも使えないの!?その子だいじょうぶなの!?
なんかもう理解できない。

去年読んだ闘病記では、生死をさまよう入院をして死にかけた母親が、無理は禁物の退院後によろよろしながら命がけでそうじをしてた。
こちらも子供は5年生。そんなになにもかもしてあげなくたって、やりかたを教えてあげれば自分の身の回りのことくらいできる年齢だ。
自分が子供だったら、そんな風に蚊帳の外でおかあさんが無理するのをながめるよりも、頼ってくれた方が嬉しい。

自分を犠牲にしてなにもかもしてあげるのって一見「愛」っぽいけど、なにもできない子供を作るのは優しい虐待でしかない。
家事はスキルだけじゃなくて習慣だから、それが身についていないと本人が困る。
スキルはともかく習慣を大人になってから身につけるには労力がかかる。
それになにもさせずにいると、「お前にはなにも期待していない」「お前には何もできない」というメッセージを与えてしまう。
そういう風に思わなかったとしても、それはそれで「してもらって当然」と考える子供になってしまう。
どちらにしても子供のためにはならない。

『断ち切らないで』だったか、貧困層の家庭の話の中に、この辺の子は親が忙しいから小学校低学年でご飯を炊ける子も珍しくない、という話があった。
子供が子供でいられない状況は、それはそれで問題があるんだけれども、自分で考えて動く訓練がされていない子は大人になった時に確実に困る。


そんなことを考えてもやもやしているときに、石井桃子が1956年に書いた『においのカゴ』というおはなしを読んだ。
おかあさんが病気でたおれて、おとうさんと中1と小5の子供たちはまんぞくに家事をこなせないから家の中がぐちゃぐちゃになる。
で、たずねてきたおかあさんのねえさんに「おかあさんをこんなところで寝かしておいていいの」と怒られる。
おかあさんも「あんたの教育方針がまちがってるのよ」と怒られる。
おかあさんはたしかにそうだ、人間いつ死ぬかわからないのに、こんなに何もできない人たちを残していくなんて…と思う。
そうか、昔からか。今時だからこうなるんじゃないんだな。
ただ貧乏だと子供を遊ばせておく余裕がないから昔は動けない子供が今より少なかっただけか。
だれかひとりが無理すれば回っちゃう程度の余裕がある状況では、意識して働かせないと働けない子になっちゃうんだなと思った。


断ち切らないで―小さき者を守り抜く「子どもの家」の挑戦 -
断ち切らないで―小さき者を守り抜く「子どもの家」の挑戦 -
においのカゴ -
においのカゴ -
posted by ヒギリ at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月12日

選挙報道

赤旗が共産党すばらしい!って言ってても特になにも思わないというかまあそうだろうなと思う。
読売があからさまに自民推ししてるのを見るとイラつく。
赤旗は広報誌で、読売はいちおう報道機関だから。
テレビショッピングで商品を絶賛するのはありだけど、みえみえのステルスマーケティングには不信を抱く、みたいな話。
まがりなりにも報道であるはずの新聞社がせっせと与党に媚びているのはいただけない。

報道ってのは事実に根差すのが基本なのに、読売新聞は選挙期間になるとしょっちゅうしょっちゅう世論調査(自社調べ)を一面にのせて「みんなこうおもってるよ!」「じみんゆうせいだよ!」と主張してる。
それでいてすみっこに「中立を保持するため選挙期間中はうんぬん」と注意書きしてあるから余計に腹が立つ。
それでも新聞社にカラーがあるのはまだいい。
保守系の新聞社は保守を称えるし、リベラル系の新聞社はリベラルを応援する。
それはむしろ健全なことだ。自由に報道できる国では。
もっとも、首相のお考えだと自民を称えない報道はみんな偏向でそんな報道は慎むべきらしいから、セルフ検閲しちゃう報道機関が増えているようだけど。

NHKが不在者投票のニュースでさりげなく自民支持の声「だけ」を伝えてたのは絶望した。
私は何年か前までずっと、「民放はスポンサーとの兼ね合いがあるけれど、公共放送は視聴率や圧力に屈さず伝えるべきことを伝えられる」っていうのを信じてたんだ。
公共放送の金主はお国ではなく視聴者のはずだ。
でもよく考えたら独裁国家の公共放送は独裁者に都合のいいことしか言わない。
報道の自由がおびやかされている国では公共放送が広報メディアになりさがる。
萩生田光一がだしたマスコミへの報道自粛要請なんかを見ていると、今が何時代なのかわからなくなる。

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2014年12月05日

「あなたは就活にネクタイが必要だと思いますか?」

「仕事とジェンダー」系の記事を読みあさっていたらキャリコネニュースというページにたどりついた。
記事は面白かったんだけど、ふと目に入ったアンケートコーナーに目を疑った。

秋田の国際教養大が「リクルートスーツ廃止宣言」を出しました。あなたは就活にリクルートスーツが必要だと思いますか?

・ 必要。ネクタイも着用すべき。
・ スーツで行くべきだが、ネクタイは不要。
・ スーツでなくても良いが、廃止する必要もない。
・ スーツは不要。廃止して私服で面接すべき。

開始日時: 2014.12.2 @ 11:43 AM
締切り日時: 期限なし
キャリコネニュース・アンケート履歴


あーさいきんのリクルートスーツは女子もねくたい必須なのかー。
しらんかったー。
まさかセクハラやらマタハラやら女子の働き方やらの記事のとなりに男しか頭にないかのようなアンケートが存在するはずはないものね。
そっかーまちで見かける女子就活生はみんなネクタイしてないけど、きっと面接会場のトイレとかでつけるんだろうなー。
いやーしらんかったわー。

あと「リクルートスーツが必要ですか」の回答に「スーツは○○」って変じゃないか?
リクルートスーツは必要ない、普通のスーツでいい。という答えはないんだろうか。
「私服」というのは「ラフな服」の意味なのか?とか、選択肢がよくわからん。

2014年11月24日

仲良しこよしでサヨウナラ

子供の頃、つけっぱなしのテレビで政治ニュースが流れた時のこと。
私より小さな子が「せいとうってなあに?」と聞いた。
近くにいた大人が「政党というのは仲良しの人があつまったグループだよ」と答えた。
私は、週刊こどもニュースかなにかの受け売りで「同じ考えの人たちだよ」と訂正した。
それを聞いた大人はOh…みたいな反応をした気がする。

大人より正しく政治を説明できるとは、私はなんて賢いんでしょう。
と思ってたんだけど、あの大人は私の賢さに驚愕したんじゃなくて、子供に教えるべき「正しい説明」が現状を伝える「正確な説明」になってないことに動揺したのかもしれないと思う今日この頃。


posted by ヒギリ at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・気になること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月22日

情報より釣り針

昨日、金曜ロードショーで『千と千尋の神隠し』を放送していた。
番組表でキャストを見たら、主要キャラをさしおいてゲスト出演の芸能人の名前があった。
顔の売れている人でも湯婆場の夏木マリや釜爺の菅原文太はわかる。
けど、ハクとリンより両親がどどんと出てくるっておかしくない?
ハクとリンは千尋のつぎに来るべき名前じゃない?

どうでもいいアオリ(世界が絶賛!)や盛りすぎの宣伝(一瞬みせるだけの他作品の名前)を入れるスペースがあるなら主要キャストを書いて欲しいのに。
それで釣ろうってのはわかるけれどもあまりにもあざとい。
posted by ヒギリ at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映像とか音楽とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月11日

地声と女子声

テレビをつけたら、40年くらい前のトーク番組の一部が流れていた。
出演者の中で端っこのほうにいた女の人がものすごく印象的で、名前を調べて検索したらわりと有名なレズビアン(当時はクローゼット)だった。
うん、絶対セクマイだと思った。
私はあんまりそういうのに気付く方じゃないんだけど、なんかその人は他の人と違ったんだ。

「オネエキャラ」みたいなわかりやすい特徴を出しているわけじゃないし、「ボーイッシュ」ですらないし、浮いてもいないけれど他の女性たちと違う。
口調というか声のトーンが全然媚びてない。
服装も髪型も男にアピールする気ゼロだよ。

というより、周りの女性たちがものすごく女子女子してる。
話し方も声の出し方も服装も、ものすごく作りこんである。
女性性の魅力を強調した芸能人ということを差し引いても、「人である前に女子」みたいな。

そういう中で、地声で話すそのレズビアンの人はまわりと全然違っている。
フラミンゴの群れにエミューが混じっているみたいに見える。
きっと当時のヘテロの目には「なんかもっさい人が混じってる」程度の違和感だろうけど、女子女子したくない女子の目には燦然と輝いてみえたことだろう。

よく「昔のゲイはいかにもゲイ!な外見だったけれど、最近はヘテロと区別がつかない」という話を聞く。
ヘテロに擬態できる程度のゲイもゲイと名乗れるようになってきたということもあるだろう。
でもヘテロの側が変化してきたことも大きそうだ。
「男!」「女!」と強調する圧力がゆるくなって、「男らしい男」と「女らしい女」の中間層が増えてきたから、「男役」「女役」をやりたくないセクマイも過ごしやすくなってきたってことなんだろうな。


「男らしく」愛する人を守りたいから彼女は「女らしく」自分で身を守れないくらい弱いままでいてくれないと困るとか、
「女らしく」ハイヒールを履くと彼氏より背が高くなってしまって「女らしく」なくなってしまう、
みたいなくだらない悩みって、「らしさ」を関係性の中で作ろうとするから出てきてしまうんだと思う。
相対的に「らしく」しようと思ったら、隣の人もトータルでコーディネイトしなきゃいけなくなる。
マッチョな「男らしい男」が白い目でみられ、小首をかしげて高い声を出す「女の子らしい女」アイドルが隆盛の今日この頃だけど、本当は男らしさも女らしさも生まれの性にかかわらず、関係性と無関係に自分の好みでチョイスできればそれが一番いい。

2014年11月09日

「私の持っている情報」≠「私が自由に扱っていい情報」

ネットとうまくつきあいましょう、個人情報を守りましょう。
と言われて久しいけれど、その情報とやらが「自分の個人情報」だけを指しているようで疑問に感じるときがある。
「私」が持っている情報は「私のネタ」ではなく「誰かの個人情報」かもしれないと、もっと考えるべきじゃないのかな。

個人用の通信機器(パソコン、スマートフォンなど)をパートナーに触らせるか、のような問いをたまに見かける。
たいてい、(家では)ロックしませんよパートナーが自由に見られるようにしてますよ、やましいことなどないです隠し事なんかありません、といった模範解答がでるけれど、これって変だと思うんだ。

パートナーシップは人それぞれでいい。
「見なくて平気」も「見られても平気」も当人たちが納得しているならそれでいい。
でも世界は愛する二人だけで構成されるわけじゃないから、二人の世界の外側も勘定に入れる必要がある。

たとえば恋人のメールボックスをチェックしたとする。
そのとき実際に見るのは「恋人のメール」ではなく「恋人と誰かのあいだで交わされたメール」なんだ。
つまり相手がいる。その相手は宛先以外の人にメールを読まれることを了承しているだろうか。

愛する二人の間には秘密も垣根もないかもしれないけれども「私」と「あなたのパートナー」は赤の他人です。
不信もないけど信頼もない。知り合いですらない。
知人の大事な人なんてたいていは見知らぬ人か、せいぜい顔見知り程度だ。
家族ぐるみカップルぐるみで仲良しの人もいるだろうけど、知り合い全員とそんな関係を築いているわけじゃない。
知人のパートナーと犬猿の仲の人だっているだろう。

DMしかこないならともかく、人と普通にやりとりしていれば見られたくない内容のものはでてくる。
他人にとってはどうでもいいことでも本人は見られたくないなんてことはいくらでもある。
恋愛相談や上司のグチや同性同世代の友人にしか話したくない体調の話や、ただのアホな冗談や変顔だって相手によっては見られたくない。
そもそもアドレスをよく知らない人に勝手に知られるのだっていやだ。
見る側としては恋人の浮気チェックをしたいだけでメール相手に興味なんかないとしても、メール相手だけに宛てたつもりのメールを見られるのは気分が悪い。

不快なだけでも十分いやだけど、実害がでる場合もある。
友人からパートナー経由でストーカーに情報がわたってしまうことだってある。
知り合いには見せなくても、SNSにアドレス帳を公開設定で登録したせいで「友達」に迷惑メールが届くこともある。

「芸能人がバイト先にきたよー」と書いちゃう人や、他人の写真を勝手に撮ってブログに載せる人たちも根っこは同じ。
こういうのってみんな、自分の持っているネタが他人の個人情報だということを理解していないんだと思う。

もっとも、ネットを使わなくても、他人の情報をもらすうっかりさんはいる。
おうちで奥さんの親友に「仕事上知りえたネタ」を話したら、その「顧客情報」をツイッターでばらされたなんて話もある。
他人の情報を雑にあつかう人がいるのはネットに限らないけれど、インターネットの俎上に乗ると広まる範囲と速度が格段に広がる。

だから、情報教育や倫理には自分の情報を守るのと同時に、他人の情報を不用意にもらさない責任を組み込まなきゃいけない。
自分が持っているこの情報は自分が自由に扱っていいものなのか、自分が扱っていい範囲はどこまでか、という合意とか常識とかルールみたいなものが必要だ。


まあ皆に守れっていっても無理だろうし、誰にも連絡先を教えないわけにもいかないから自衛なんて不可能なんだけど、せめて自分が加害側にならないように心がけよう。

posted by ヒギリ at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・気になること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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