2015年01月06日

教え育てる

しばらく前に新聞で「子供と楽しむ料理」みたいな記事を読んだ。
おもしろく形をつくって子供といっしょにかざれば興味も持たせられますとかなんとか。
実践しているご家庭の描写では、材料をぜんぶ準備したおかあさんが子供にさあ盛りつけようねと声をかけていた。
ぜんぶできあがった鍋に、成形済みの飾りをのせるだけの「おてつだい」。
これが「優良な食育」みたいに描写されていることに驚いた。
だって子供11才だよ。3才じゃないんだよ。
11歳なら切ったり焼いたり混ぜたり煮たりできるだろ。教えさえすれば。

別の日。子供が大きくなったから働くことにしたの、というパートさんとおしゃべりした。
小学校低学年の子とお兄ちゃんがいるそうで、冬休み中は昼ごはんを用意して出勤していると話していた。
あぶないから鍵は持たせていない。火も電気ポットも使わせない。大きい魔法瓶にお湯を用意しているという。
過保護だとは思ったけど人んちのことだし今時の子育て事情はそんな感じなんだろうかと思いながら聞いていたら、お兄ちゃんが大学の模試でどうのという。
え、お兄ちゃん小学生じゃないの!?高校三年生なの!?それで鍵もコンロも使えないの!?その子だいじょうぶなの!?
なんかもう理解できない。

去年読んだ闘病記では、生死をさまよう入院をして死にかけた母親が、無理は禁物の退院後によろよろしながら命がけでそうじをしてた。
こちらも子供は5年生。そんなになにもかもしてあげなくたって、やりかたを教えてあげれば自分の身の回りのことくらいできる年齢だ。
自分が子供だったら、そんな風に蚊帳の外でおかあさんが無理するのをながめるよりも、頼ってくれた方が嬉しい。

自分を犠牲にしてなにもかもしてあげるのって一見「愛」っぽいけど、なにもできない子供を作るのは優しい虐待でしかない。
家事はスキルだけじゃなくて習慣だから、それが身についていないと本人が困る。
スキルはともかく習慣を大人になってから身につけるには労力がかかる。
それになにもさせずにいると、「お前にはなにも期待していない」「お前には何もできない」というメッセージを与えてしまう。
そういう風に思わなかったとしても、それはそれで「してもらって当然」と考える子供になってしまう。
どちらにしても子供のためにはならない。

『断ち切らないで』だったか、貧困層の家庭の話の中に、この辺の子は親が忙しいから小学校低学年でご飯を炊ける子も珍しくない、という話があった。
子供が子供でいられない状況は、それはそれで問題があるんだけれども、自分で考えて動く訓練がされていない子は大人になった時に確実に困る。


そんなことを考えてもやもやしているときに、石井桃子が1956年に書いた『においのカゴ』というおはなしを読んだ。
おかあさんが病気でたおれて、おとうさんと中1と小5の子供たちはまんぞくに家事をこなせないから家の中がぐちゃぐちゃになる。
で、たずねてきたおかあさんのねえさんに「おかあさんをこんなところで寝かしておいていいの」と怒られる。
おかあさんも「あんたの教育方針がまちがってるのよ」と怒られる。
おかあさんはたしかにそうだ、人間いつ死ぬかわからないのに、こんなに何もできない人たちを残していくなんて…と思う。
そうか、昔からか。今時だからこうなるんじゃないんだな。
ただ貧乏だと子供を遊ばせておく余裕がないから昔は動けない子供が今より少なかっただけか。
だれかひとりが無理すれば回っちゃう程度の余裕がある状況では、意識して働かせないと働けない子になっちゃうんだなと思った。


断ち切らないで―小さき者を守り抜く「子どもの家」の挑戦 -
断ち切らないで―小さき者を守り抜く「子どもの家」の挑戦 -
においのカゴ -
においのカゴ -
posted by ヒギリ at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月24日

こもりたがるのは非ひきこもり

内閣府の調査でひきこもりがなんかいっぱいいると推計されたらしいです。
親和群はもっといっぱいいるそうです。

「ひきこもり」70万人、予備軍155万人

 家や自室に閉じこもって外に出ない若者の「ひきこもり」が全国で70万人に上ると推計されることが、内閣府が23日に発表した初めての全国実態調査の結果から分かった。
 将来ひきこもりになる可能性のある「ひきこもり親和群」も155万人と推計しており、「今後さらに増える可能性がある」と分析している。
 調査は2月18〜28日、全国の15〜39歳の男女5000人を対象に行われ、3287人(65・7%)から回答を得た。
 「普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」「普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」状態が6か月以上続いている人をひきこもり群と定義。「家や自室に閉じこもっていて外に出ない人たちの気持ちが分かる」「自分も家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「嫌な出来事があると、外に出たくなくなる」「理由があるなら家や自室に閉じこもるのも仕方がないと思う」の4項目すべてを「はい」と答えたか、3項目を「はい」、1項目を「どちらかといえばはい」と回答した人を、ひきこもり親和群と分類した。
 その結果、ひきこもり群は有効回答の1・8%、親和群は同4・0%で、総務省の2009年の人口推計で15〜39歳人口は3880万人であることから、ひきこもり群は70万人、親和群は155万人と推計した。
 ひきこもり群は男性が66%と多く、年齢別では30歳代が46%を占めた。一方、親和群は女性が63%を占め、10歳代の割合が31%と高かった。
 ひきこもりとなったきっかけは、「職場になじめなかった」と「病気」がともに24%で最も多く、「就職活動がうまくいかなかった」が20%で続いた。

YOMIURI ONLINE 2010年7月24日(土)05:02


親和群とか意味わかんねえ。

「嫌な奴を殺したいと思う人たちの気持ちが分かる」
「自分も部下や上司が死ねばいいのにと思うことがある」
「嫌な出来事があると、八つ当たりしたくなる」
「理由があるなら復讐に走るのも仕方がないと思う」

の4項目すべてを「はい」と答えたか、3項目を「はい」、1項目を「どちらかといえばはい」と回答した人を、人殺し親和群と分類します。

とかいう調査があったとしたら、調査した奴は馬鹿だと思う。


「ひきこもりたい」と「ひきこもり」は全然違う。
「ひきこもりたい」も辛いし、ひきこもりに移行することもあるし
困難があるのなら誰であれサポートがあるべきだけど、
それは「ひきこもり」の抱える問題や必要なサポートとは違う。

ひきこもりはひきこもりたいなんて思わない。
ひきこもること以上に外や人が怖くて踏み出せないだけだ。

posted by ヒギリ at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月05日

大事なことなのでよるのにゅーすです

愛子さまが今週初めから学校欠席、不安訴え
YOMIURI ONLINE 2010年3月5日(金)20:24

意味わかんねえ。頭おかしいよ。なんでこんなんで記者会見すんの?
せざるを得ないんだとは思うんだけど。週刊誌にあることないこと書かれて皇室スキーのお上品なかたがたのオカズにされるよりは(まあどの道されるんだけど)自分で言ったほうがまだマシとかそういうこと?
なにがしたいんだか意味が分からない。
たかだか一週間で大ごとにしてんじゃねえよ余計行きづらくなるじゃん。
このクソ下らない「原因」とやらもなんか言わなきゃいけないから一応あやしげなものを犯人にしときましたみたいな臭いがするし。
でかい音や動きが苦手な子はいるし、そういう子にはそれがすごくストレスになるってことはある。一方で静かに動いたり話したりするのがうまくない子もいる。エネルギーが有り余っていたりストレスがたまっていたりで無意味に走ったり叫んだりしたい時だってある。
そういう子たちが出会っちゃうのは不運なことだけど仕方ない。どっちも悪くない。理想を言えばどっちも生きやすいように慣らしてあげるためのサポートできればいいけど、まわりの大人がサポートできなかったとしてもそれは仕方ない。
このこも、とりあえず理由にされたこもかわいそうすぎる。

今はどうだかしらないけど、十年くらい前に聞いた話を思い出した。
里子に出された子が不登校になったら、子どもを学校に「行かせない」里親は不適格だとして里子が養育家庭から施設に戻された。いじめられたのかもしれないし、今までの疲れがガッと出たのかもしれないし、里親を信用できるか無意識に試しているのかもしれないし、良い子をしなくても大丈夫な環境になったから問題を表せるようになったのかもしれない。でもそういうことは関係なしに、向き合おうとしていた里親から引き離されてしまった。
っていう。
あるいは公務員は決められたこと以外はするな・決められたことは絶対にしろ・でもお客様が喜ぶ臨機応変な対応を。という無茶な要求をする人おおいよねって話とか。

たまたまそこに生まれちゃったら不登校もできないのかよ。
大人相手でも嫌だけど、子どもを濫用すんの本当やめてほしい。

posted by ヒギリ at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月30日

不満の使い道を教えてやれよ

気になったニュース。

生徒が「先生を流産させる会」 いすに細工、給食に異物

 愛知県半田市の市立中学校で、担任に不満を抱いた1年生の男子生徒十数人が「先生を流産させる会」と称し、妊娠中の30代の女性教諭に対し、いすのねじを緩めたり、給食に異物を混入したりしていたことが分かった。

 同市学校教育課によると、生徒らは今年1月から2月にかけて、教諭の車にチョークの粉やのりなどを混ぜ合わせてふりまいたり、いすの背もたれのねじを緩めたりしたほか、消臭や殺菌、食品添加物などに使われるミョウバンを理科の実験の際に教室に持ち帰り、教諭の給食に混ぜたという。

 見かねた周囲の生徒が2月下旬、別の教諭に伝えて問題が発覚した。担任がけがをしたり、体調を崩したりすることはこれまでなかったという。

 学校側が事情を聴いたところ、席替えの方法や部活動で注意されたことへの不満を口にする生徒がおり、「先生に反抗しよう」という話が持ち上がったのがきっかけだったことが分かった。学校はその後、保護者を呼んだうえで生徒を指導し、生徒らも反省の態度を示しているという。

 校長は「個々にはいい子たちで、最初は信じられず、仰々しいネーミングにも驚いた。ただ軽いのりからエスカレートしたようで、計画的とまでは言えない。命の重さについて、より指導を徹底していきたい」と話している。

asahi.com 2009年3月28日10時43分


ひどい話なんだけどなんていうか、うーん。
この子たちが異常で凶悪で人の気持ちを考えられない犯罪者でした
って話じゃないよな
っつーことで気になった。
「命の重さについて」とかじゃないと思うんだ。
それも大事だけど。

妊娠ってどういうことなんだろうとか、
妊娠した人はどんな状態なんだろうとか、
胎児はどんな影響を受けるんだろうとか、
流産ってどんなことなんだろうとか、

そういう知識も足りなさそうなんだけど、
それはとりあえず置いておいて。

 学校側が事情を聴いたところ、席替えの方法や部活動で注意されたことへの不満を口にする生徒がおり、「先生に反抗しよう」という話が持ち上がったのがきっかけだったことが分かった。

ここ。
反抗しようってお前コッソリやるのは反抗じゃないよ…
文句があるなら学級会でいうか、せめて匿名で下駄箱に手紙でもいれときなさい。

不満をどうにかするってことが
全然できてないのが問題なんだ。


解決に繋がらないどころか、攻撃したことすら相手に伝わってない。
どこが問題点なのかも、解決するためになにをすればいいかもわかっていない。
(わかっていてもできないのかもしれない)
自分も12〜3の頃は「せんせいにはんろんする」なんて思いつきもしなかったけど…

「批判」や「苦情」や「相手と違う意見を表明する」ということが
できない空気があったとか、言っちゃいけないと教えられているとか、
少なくとも言っていいとは教えられていないんだろうと思う。
やりかたも知らないだろうし。


ここの学校や教員がどうってことじゃなくて、
携帯やパソコンやアニメやゲームの影響でもなくて、
最近の子って話ですらなくて、
どこもかしこも正面から反対するのは「いけないこと」だから、
(あるいはわるものになりたくないから)
迂遠で残酷なやりかたを選んでしまう。

たとえば嫌なところがある子に、
そこが嫌とかそれをやめてと言えなくて、みんなで無視する、とか。

どこが悪いのか言わなきゃ伝わらないのに、
「気づけ」としか言わない。言えない。
無視されているのに原因に気づかない相手が悪いと本気で思っている。
伝えなければ伝わらないってことや、
自分は相手がなぜその行動をするのかを知ろうとしたこともなければ、
いさめたこともないということにすら気づかない。


「ケンカをしてはいけません」「乱暴をしてはいけません」
「いじめちゃいけません」「ひどいことを言ってはいけません」
みたいなお題目を問答無用ですりこまれちゃうと、
「批判」「苦情」「反対意見」など、言うべきことまで言えなくなってしまう。
なぜそれをしてはいけないのかがわからないから、
していいこと・するべきことと区別がつかない。


まあ「仲良くしなさい」「静かにしなさい」「素直に明るく」
「文句を言うのはモンスター」などは往々にして
「俺に逆らうな・迷惑をかけんな」だったりするから、
そういう人にとっては子どもに区別をつけられちゃうのは
困るかものしれないけど。


私たちの社会は、女の子に、真実を語ること、怒りを感じることをまちがいだと思わせてきた。正しい答えとは、人を傷つけない答えのことだ、と教えてきた。
(略)
これらの感情を否定するかぎり、私たちは自分自身から切り離され、他人と真の関係を結ぶこともできない。それらは否定したからといって消え去るわけではなく、ほかのかたちに変わる。

レイチェル・シモンズ『女の子どうしって、ややこしい!』草思社

これは女の子のことを書いた本からの引用だけど、
少なくとも今の日本では男の子も(女の子ほどじゃないにせよ)
やさしくしなさい人を傷つけちゃいけませんって言われ続けるよな。

全員均質にはなれないから、違うことを受け入れたり、
怒りや悲しみや不満を整理するために、
言葉や方法を教えてあげなくちゃダメなんだよ。

「死ねなんていうやつはクズだ。死ね」じゃ意味がない。
自分が何に怒りを感じているのかを説明するための言葉と、
どうして欲しいのかを伝えるためのやりかたを教えてあげてくれよ。

親や教員もできないから教えられないのかもしれんけど。

私も好みが違うってだけのことを
なかなか言えなかったりするから、気持ちはわかる。

けど、最近の子の大変さは尋常じゃない。
メールがたくさんきて負担だからもう嫌なんだけど無視するのは悪いしどうしよう?
とかいう相談をされると、なんてこいつら面倒臭いんだろうと思う。
ちなみにその時の子は
「負担だから夜中はやめて欲しい・量を減らして欲しいと告げる」
という選択肢が浮かばなかったらしい。
自分が返せる範囲を言えよと言ったら目から鱗が落ちたと言われた。
「そうか!言っていいのか」と。
最近の子かわいそうとか思ってしまった...

言葉は伝え合うためにあるのにな。


おまえらが手なんか繋いでるから終電逃したんじゃ!

 手をつないでいたアベックが邪魔で、最終電車に乗り遅れた奈良県桜井市の会社員(58)が、男性(24)の方を線路に突き落としたとして傷害の疑いで逮捕された。熱々ぶりが目に余るアベックは確かにいるが…。コトの顛末を捜査に当たった大阪府警柏原署の捜査幹部と現場の近鉄大阪線河内国分駅の駅員に聞いた。

 ――トラブルの発端は
 柏原署幹部「26日午後11時55分ごろ、河内国分駅で奈良方面の終電に乗ろうとして、ホームへ向かう階段を下りていた男が、上がってくるアベックと鉢合わせたんです」
 ――なんでトラブルになった
 柏原署幹部「手をつないどったなかを男が突っ込んでいった。そのまま電車に乗ろうとする男を男性が『何すんねん』ちゅうことで呼び止めてホームで口論になり、もみ合いに。男は『おまえのせいで終電に乗り遅れた』と激怒して男性の胸ぐらをつかんで約1.3メートル下の線路に突き落とした、とこういうわけですわ」
(略)

夕刊フジ  2009年3月28日17時00分



若い子どころの話じゃねえ!

おっさんもダメだった!!!!!

ちょっとまて男性会社員(58)だろ?
すごくコミュニケーションできる生き物なんだろ?
今時のニートやひきこもりと違って!

どいてくださいとか、せめて通らせろくらい言おうよ…
そりゃカップルは邪魔だったんだろうけど
マナーうんぬんというなら駆け込み乗車もマナー違反だよ。

言葉を使える人は、
自分がどれだけ恵まれたツールを持っているのかを
もっと自覚して活用するべきだ。


サイト内関連リンク
無くさないで我慢する


↓そういう考えの参考になった本
レイチェル・シモンズ,鈴木 淑美
草思社
発売日:2003-06-15


posted by ヒギリ at 22:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月01日

不正採用の教員が「子ども」としてしんどそうに見える

 子ども(の力)を信じない。
→できる(ようになる)と思わない。
→できない(だろう)から経験させない、
 もしくは経験させてもできるようになるまで待てない。
→未経験だらけのできない子ども。
→最初に戻る。

というやり方で子ども(親子の「子」でも児童でも)の
力をそぐ大人の話をしばらくダラダラ書いていたらまた似たようなニュースだ。

ショック、涙する教員も=不正覚えなく採用取り消しで−大分県教委

 教員採用・昇任試験をめぐる汚職事件で大分県教育委員会は31日、臨時会議後の会見で、採用取り消しを決めた教員21人ほぼ全員に説明した結果、「ショックを受けた教員が多く、涙を流した人もいた」ことを明らかにした。県教委は「本人には全く(不正の)覚えや心当たりがなく、事実を受け入れることがなかなかできないという表情が共通していた」としている。

2008年8月31日(日)20:30  時事通信社


なんか…発端の娘さんたちもだけど、ひたすらかわいそうだ。
とりあえずソレ採用側の不備だよね?
そっちの責任がまずあるんじゃね?てのが疑問。

でもかわいそうだと思う理由は、
本人達が知らなかったなら払ったのは多分親だろうから。
払う理由はなんだろうって考えると、
「どうしても教師にさせたかった」
「落ちるなんて認めない」
「落ちたらかわいそう」あたりかと思う。
というかそのくらいしか思いつかない。

いずれにしてもひどい話だ。
そこまで道を決められているにしろ、信用されていないにしろ。

(落ちたときの対処も含めて)自分で道を決められないとか、
切り開けないとか、選択を任せられないと思われているってことだ。
「私がなんとかしなきゃ」は「この子じゃどうにもできない」ってことだから。
こうやって、「子どものため」のつもりで
子どもの人生を奪っている大人がどれだけいるんだろう。


でもって、そこで賄賂を贈れば受かるらしいよって思考になるのは
払う親も教員や関係者なんじゃないかと思ってしまう。
一般人がそういう方法や贈り先を知ってるもんなのか?
場所によっては病院で医者にお礼?とかなんとかで
金を払う慣習があるのと同じような「常識」なのかもしれないけど。

全部憶測にすぎないけれど、払ったのが親の人で、
その人たちが教育関係者だったら、ますます絶望的な話だ。
不正採用の教員にあたった生徒がかわいそうとか
収賄がいけないとかいう倫理の問題じゃなくて。
(採用方法は所詮大人の事情にすぎない。
生徒にとっては教員としてのスキルこそが重要)

子どもを信じてあげられない大勢の人が
教育に携わっているかもしれないってことが、
(わかっていてもなお)絶望的だ。

もっと子どもを信じてやってよ。
他人(自分じゃない人)を信じられないなら、
自分の子育てを信じるんでもいいから。

(子どもを信じる信じない以前に
大分では賄賂がないと合格できないもんだと思ってたYO!
ってことだとしたら、どこまで腐ってんだ大分教委ってだけの話だけど)


サイト内関連リンク
できないのはさせないから
posted by ヒギリ at 07:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月31日

できないのはさせないから

前回の話に関連して。

『母が重くてたまらない』という本の中にも似たようなケースがあった。
今手元に本がないのでうろ覚えだけど、
家事完璧なすてきなははおや(とすてきな父親がいたっけな?)の
全面的な協力のもといい学校を出ていい仕事についた30代女性。
おうちに帰ればピカピカのおへやとホカホカのごはんが待っている
至れり尽くせりの「オヤジ(旦那?夫?)みたいな生活」。
で、自分はなにもできないとかこのままじゃダメだとか
母親のための人生みたいだと思ってる。
でも、今の安楽な生活を手放す踏ん切りがつかない。
だってとりあえず楽だし。
自分は(仕事やお勉強はできるけど)家事能力ゼロだし。
料理を覚えようとしたこともあるけれど、野菜の切り方も知らない。
んで、母親からは「あなたってば本当に不器用なんだから」とか言われる。

まあ本当にやろうと思えば料理教室に通う事だってできるわけだけど、
ちゃんとやるには家で練習も必要なわけで、
でも家の台所は完璧主婦(しかもダメ出ししたり見ていられなくて
さっさと自分でやっちゃったりする)の牙城なんだから
諦めちゃってもしかたない。


もいっちょ。
日曜の昼間にやっていた(いる?)
おっさんたちがたくさん集まって社会の理不尽におこったり
イマドキの若者のバカさ未熟さをあざわらったりする
テレビ番組(タイトル忘れた)で似たような景色を何度かみた。

プールとか遊園地で馬鹿っぽい女の子
(若いおなご限定。露出度が高いほうが良い)に料理をさせて
(もしくは若いおのこに釘を打たせたりして)
「ほーらこんなにできないんですよ最近の子ときたらなにもできないんだからうわあしかしバカですねえまったく常識がない。さあここで正解をプロの方にみせてもらいましょう」
(「じょうしき」なんだから誰にでもできるはずのことなのに
コメンテーターのおっさんどもがやるのではなくプロの方をおよびする)
という人気コーナーがあった。

作った後にはもちろんそのひどい料理やらなにやらを
製作した若者の連れである友達や彼氏に食わせて
うえーこれはひどい云々と言わせる。
で、中にはおかあさんが食ってみて
「なんでこんな風に育っちゃったんですかね情けない」
とか言っているときもある。そりゃアンタが(以下省略)

こういうの本当に嫌だ。
自分で学習の機会を奪っておいて、できないことを責めるなんて。
教えてないのにできるわけがない。
教えられないなら教えなくてもいいから、せめて機会を奪わないで。


たとえば子どもの宿題を見るときに答を全部教えちゃったら、
その宿題は完璧だとしても問題を解けるようにはならない。
テストで点数を取れないどころか思考回路も育たない。
できなくても危なっかしくても手や口を出さずに見守ってやるべきだ。

子どもが考えたり試したりする時間も機会も奪い取って
結果だけを与えておきながら
「なんでそんなこともできないの?」
なんて本気で言っているのかな?
本気っぽいから怖いわけだけど。


親からしてみればできて当たり前のことができていないのかもしれないし、
危なっかしくて見ていられないのかもしれないし、
「あたしのほうがじょうずだもん」って言いたくなるのかもしれないけど。

子どもと張り合っちゃダメだよ。
張り合いたくなる人もいるのはすごくわかるんだけど、
そこは我慢しないと。やせ我慢でもいいから。
「育てる」つもりなら待つことはとても重要。

あーでも子どもごときに張り合っちゃうのって、
自分が認められていない(認められている気がしない)からだよなあ…
自分がおびやかされるというか。
ちょっと身に覚えがある。違う理由の人もいるだろうけど。

相手が自分よりいろいろできなければ自分のほうが優位だし、
いつまでもできないままでいてくれれば相手に必要とされるし。
自慢できるほど優秀な子ども、
しかもその優秀さは自分とは違う分野だから自分をおびやかさない。
うわあ素晴らしい。
離れていかない下位の相手がいるってすてきだよね!レッツ共依存!


でも、問題にすべきは教えてもらえなかったという事実や状況で、
教えなかった人を責めればいいってもんでもない。
なんでそんなに待てないんだろうとか、
なんでそこまで必要としてくれる存在を確保しなくちゃいけないんだろうとか、
なんで子どもは逃げられないんだろうとか、
ていうか夫(子どもを支配せずにいられない人を支える人)はどこだよとか。

なんかもう、滅入るなあ。


性教育をしないで若者の間(本当は若者だけじゃないのに)で蔓延する
性病や中絶を倫理で責めたり、
ケイタイを取り上げたりネットへの接続を制限しておきながら
子どものネットとの関わり方を嘆いたりってのも同じこと。


サイト内関連リンク
「してあげない」をしてあげて
不正採用の教員が「子ども」としてしんどそうにみえる
棚上げ棚上げ

posted by ヒギリ at 17:12| Comment(6) | TrackBack(1) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月27日

リアルが足りない

少年による知的障害者への暴行事件の話をいろいろ読んでた。
ので、先にこっちを書いておく。

「弱者への暴行は許せん、制裁を!」とか
「いやいや社会が弱者を虐げるから〜」っていう反応をけっこう見たんだけど、
これ「弱者への暴行」なのかな。
いや反撃されにくいって意味では確かに弱者狙いなんだけども。

「弱者」というより「役に立たないもの」なんだと思う。
「弱者だから叩く」んじゃなくて、
「役に立たないもの」だから攻撃してもいいじゃんってことじゃないのかね。
狙ったのは「弱者だから」だとしても、
罪悪感がないのは「役立たずだから」だよな。

役立たずの基準は単純。
歌が上手とか掃除が得意とかゴミを拾うとか成績がいいとか
歩きタバコをしないとか物をていねいにあつかうとか、
そういうことはどうでもよくて「生産しないもの」が役立たず。
生産すべきものはカネ。そして未来の「生産するもの」(=子ども)。

子どもを産まない女や若者(高齢で産むと叩かれるけど)とか
働かない/働けない人(ニートも高齢者もひきこもりも病人も
ホームレスも障害者も子どもも夢追い人も)
に対する社会の目ってほんとに厳しいっつか冷酷だもの。
まあ自己責任に見えるものほど叩きやすいという差はあるけれど。

「生産しないもの」のために、なんで税金を使わなきゃいけないの?とか
「生産しないもの」のために、なんで(「生産するもの」である)俺らが
負担を負わなきゃいけないの?とか
綺麗事言ったって「生産しないもの」は役立たずじゃん
ってフツーに思ってる人はけっこういる。
顔と名前を出して堂々と言っちゃえるほど厚顔な人が少ないだけで。

本当はそうじゃないないし、
そういう価値観を持っている人ばかりじゃないんだけど、
そう思ってしまう子が居てもおかしくない程度には
この価値観が蔓延している。

無駄を省きすぎて遊びや余白がまったくない。
「役に立たないもの」は「要らないもの・価値の無いもの」って
余裕のない、貧しい価値観だよなあ...


そんで、中学生も「生産しないもの」なんだよな。
生産したらしたで異物として叩かれるし。
子どもは一応「“まだ”生産しないもの」っていう
ただしがきがあるから大っぴらに叩かれないだけで、
言おうと思えば「誰のお陰で飯が食えている」とか
「なにもできないくせに」って言えちゃうし、言われたら言い返せない。
「うっせーハゲ!」くらいは言えるけど、
「役立たずじゃない」って言えない。(この価値観の中では)



ところで、私は子供の頃――というか今も、
なんとなく自分に関することを他人事に思っている。
(昔だか今だかよくわからないから、とりあえず現在進行形で書く)

大抵のことは雑か適当だけど、
「いっしょけんめい」「むちゅうで」やっている時は、
ああ今自分は一所懸命と言うやつをがんばってやっているなあと思う。
本気でやってるって意味じゃなくて、
「いっしょけんめい」を頑張って演じている。
「ごっこ」だよなあって思いながらやっているから、
成り切りきれてない。
あんまり演技派じゃないから自分を騙せてない。

切実な話もボヤボヤーっとやりすごしてる。
先の予想はつくけれど、今痛くなければリアルに考えられない。
痛いのは嫌だから身に迫った危険は避けられるけれど、
長い目で見て自分のためになることができない。
必要な痛みも避けて通ってる。

私はダメだ→じゃあ良くなるためにがんばろう、
じゃなくて、
私はダメだ→こんなやつを良くしてやるための努力などしてやるものか。

自分なんだけどね。わかってるけどね。
自分なんだけど、他人事。
自分のことだから(失敗しても人に迷惑をかけないから)
手を抜いてもいいやと思っている面もあるかもしれない。
自分ごときのせいで自分に迷惑が掛かるのも嫌なんだけど。

自分の身に降りかかることは他人事じゃない。
でも、自分を動かすことは他人のすることだと思ってる。
してもらって当然って意味じゃなく(はたから見れば同じだけど)、
自分を自分で動かせると思っていない。
私の腰の重さに耐え切れずに手を出してくれる人を押しのけてまで
自分で動くほどやる気がない。
自分で動く面倒さプラス人を押しのける面倒さより、流されるほうが楽だから。
ついでに他人のやることに手や口を出してはいけないと思ってる。
「ひとにめいわくをかけてはいけません」を内面化しているので。

だから、これは自分にとってよくないなと思うことも、
そのまんまズルズル放置してる。
そうなるのが嫌で、動くときは一切他人を容れずに動いてる。
それはそれでダメ人間。
全部拒否か全部おまかせ。中間はないのか。
てなことを、このニュースとソレに対する反応を読んでて連想した。


なんかこの「怖くない相手を狙う計算」と
「言っちゃいけないことを言っちゃうウカツさ」のアンバランスが、
今痛いかどうかしか見えてない・見えてもリアルに感じられないときの
他人事感覚と似てるよなって気がして。

この子たちはちゃんと自分を生きてるのかな。

posted by ヒギリ at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
タグクラウド
Aセク Aセクシャル BL CM DV GID goo IDAHO IS LGBT MINMI NHK Roots sad TLGP UFO X−MEN あるある いじめ うさぎ おしゃれ おやつ お勧め こんにゃくゼリー しつけ ひきこもり まゆ もったいない もとはしさとこ ものづくり やっかみ やり直し やる気 アイデンティティ アカー アセクシャル アトピー アニメ アメリカ アルバイト アンパンマン アン・スモーリン アート イギリス イタリア イベント イラン インターネット インド インナーチャイルド インフルエンザ ウサビッチ エイズ エドワード・ゴーリー カップル思想 カムアウト キャロル・オフ クィア クローズアップ現代 ケア ゲイ ゲーム コミュニケーション ゴーリー サポート システム ジェンダー ジャッキー・ケイ ジョン・ガイナン スキヤキウエスタン スパム スポーツ セクシャルマイノリティ セクシュアリティ セクマイ読み タイトル評 テレビ ディロン トーベ・ヤンソン ドキュメンタリー ドラマ ナショナリズム ニューカマー ニュース ニート ネット ネット広告 バイセクシャル バッシング バリアフリー パウロ・コエーリョ パレード パワーハラスメント ビッグイシュー ピーコ ファクタ ファンタジー ファン心理 フィルタリング フェミニズム フリーター ブクログ ブラ男 ブログ ブログ村 プライド ヘテロセクシズム ヘテロセクシャル ペット ホモソーシャル ホモフォビア ホワイトカラー・エグゼンプション ボランティア ポジティブ マイノリティ マジョリティ マスコミ マタニティマーク マナー マナー向上員 ママ ムーミン メディア メディアリテラシー メンタル モラル ラジオドラマ ラベリング リテラシー レインツリーの国 レゲエ レベッカ・ブラウン 三森ゆりか 三谷幸喜 上野動物園 上野千鶴子 下着 不妊 不安 不幸 不正採用 不況 不登校 世代 中学校 中村文則 事件 事故 二丁目 二千円札 二次加害 京極堂 京極夏彦 仕事 体罰 倉敷市 倉本智明 倫理 偏見 健常 健康食品 優先席 優生思想 児童 児童書 入管法 全盲 写真 写真集 冤罪 出産 制服 動機付け 動物 北朝鮮 北海道 卒業 厚生労働相 原因論 原爆 参院選 友人 可愛い 吉永みち子 同性愛 名づけ 名付け 名前 君が代 和歌 和歌山県 和田秀樹 図書館 国旗 国連安保理 地下鉄 地域 地震のこと 報道 売春防止法 売防法 外国人 夢判断 大人 大分 大学生 大統領選 大阪 夫婦 女性 姑獲鳥 婚姻 子ども 子供 子宮頸がん 子持ち 子無し 子育て 学校 学生 安倍晋三 安全 安心 宗教 定時制 宮城県 宮沢賢治 家事スキル 家庭 家庭科 家族 寓話 対処 対話 小中学校 小学校 小説 少子化 少年犯罪 少数派 就労 尾辻かな子 島村洋子 島根県警 工藤定次 差別 差別用語 希望格差 常識 平野広朗 幸せ 府中青年の家 引きこもり 弱者 弱視 心理 心理学 思い込み 性善説 性教育 性暴力 性犯罪 性的指向 恋愛 恋愛至上主義 情報 愛情 感動 感情 慣れ 我慢 戦争 戸籍 手引き 批判 投票 拷問 携帯電話 摂食障害 支援 政治 政策 教員 教職 教育 教育再生会議 教育再生懇談会 教育委員会 整理 斉藤環 新潟 新聞 日本の、これから 日本テレビ 映画 普通 景気 暴力 暴言 書評 月経 有川浩 服装 未婚 本多孝好 本能論 札幌 朴裕河 村上龍 条例 東京プライドパレード 東京都 東北農政局 松森果梨 柳沢伯夫 格差 桐野夏生 梨木香歩 森永アロエヨーグルト 権利 横浜市 欲求 正義 歩行 死刑 民主党 洋画 活字中毒 浜崎あゆみ 清水尚 熟年 父親 特報首都圏 犯罪 猿橋賞 珍名 理解 生徒 生活保護 生理 生理的 男性 町村官房長官 異性愛 異性愛至上主義 痴漢 発達障害 百合 盲導犬 知る権利 短編集 砂川秀樹 社会 社会不安障害 神戸市 福祉 税制 童謡 笑い 管理 紅白歌合戦 経済 結婚 結婚式 絵本 練馬区 署名 美学 義務 義務教育 義家弘介 聴覚障害 職場環境 育児 脳内メーカー 自分探し 自己肯定感 自死 自死遺族 自殺 自閉症 芳賀優子 芸能 芸術 若者 薬物 虐待 行事 行政 表現 裁判 西村賢太 規制 規範 視覚障害 視覚障害者との接し方 親切 親子 言葉 訃報 詐欺 評価 読売新聞 読書 貧乏性 責任 足立区 農業 遊び 運動 道徳 遥洋子 選挙 邦画 都城市 配慮 野球 障害 集団 雑誌 難聴 電車 非行 韓国 音声信号 音楽 飲酒 飲酒運転 餓死 駅員 駒尺喜美 騒音 高校 高校生 高楼方子 鳩山法相 DHC