2015年01月24日

過保護包囲網

絵本をひらいたら、先頭の書誌情報のページに小さく注意書きがあった。
「予想外の事故(紙の端で手や指を傷つける等)の防止のため、保護者の方は書籍の取り扱いにご注意ください。」

うそだろ、本にまでこんなアホな注意書き(もしくは免責アリバイ)がのるようになっちゃったの!?
しかもよりによってムーミンだ。

注意書きは本来、気づかないと不利益を被る可能性があることを指摘するために書くものだ。
たくさんの人が手に取るものは、たくさんの背景を持った人が利用する。
なかには、たいていの人が知っていることを知らない人もいる。
だから、言われなくてもわかりそうなことでも「わからない人」にあわせて、くどいくらいに注意を書く。
そんなにしつこく書く理由は、知らないと危ないから。
うっかり大けがをしたり死んだり破損させたりしないように注意を呼びかける。


さて、紙の本を不用意にあつかうとどのような「予想外の事故」がおこりうるか。

ピッ。
「あれ?いつのまにか指きれてる」
しばらく痛がゆい。

……なんてじゅうとくなケガなんだ!
これって保護者が気をつけてあげなきゃいけないようなことかな。
防止しなきゃいけないほどのことか?
どんなにひどくたって紙で指を切り落としたりはできない。
なかにはささいな傷が命取りになるような子もいるけれど、その場合は言われるまでもなく気をつけてる。

私は、注意書きが必要なのは基本的に以下のふたつのどちらかに当てはまる場合だと思う。
・知らないと重大な不利益をこうむるおそれがある。
・その商品特有の(言われないとわからない)リスクがある。
紙で指が切れるのなんて他の本でもノートでも資料でもおこりうるし、結果も大したことじゃない。


この絵本は、「あたいは自由!」と勝手に動き回る子が主役のおはなしだ。
毎晩好きなところで眠るし、事件に首をつっこんで歩きまわる。
脇役には、かつて別のおはなしでルールにがんじがらめにされていた子と、ルールをぶちこわして助けだした人もいる。
そういう本の冒頭でこんな注意書きを目にするとは残念だ。


もしかすると気を利かせたつもりなのかもしれない。
クレームがあったのかもしれないし、それを先取りして対策したのかもしれない。
けれど、なんでも聞き入れるのが良い対応だとは思わない。
つっぱねなきゃいけない種類のクレームだってある。
委縮した大人の作るものは、受け取った人を委縮させる。

ムーミンやしきはひみつのにおい (講談社の翻訳絵本) -
ムーミンやしきはひみつのにおい (講談社の翻訳絵本) -

2015年01月21日

「望む日本」を映す鏡

『ハリー・ポッターと賢者の石』の次に『NO!ヘイト』を読んだ。
ネットやテレビや本屋で花盛りの日本礼賛ネタは、のぞみを映す鏡みたいなもんなんだなと思った。

ハリー・ポッターの一巻に、見た者の望みを映す鏡が出てくる。
鏡の前に立つ者の目には、逢いたい人といる自分や、ほしいものを手に入れた自分の姿が映る。
それはあくまで「望む姿」であって、「確定した未来」や「真実の姿」ではない。
だけど「一番の望み」は一番つつかれたら弱いところでもあるから、なかなか目が離せない。

はっきりと見えるのに虚像でしかない鏡の中ばかりを見ていると、そのうちおかしくなってしまう。
この甘美な鏡と上手につきあうのはとても難しい。


外国人がこんなに日本をほめてるよ!とか、日本人はこんなに立派だ!とかの本やテレビ番組やコピペは、この鏡とおなじ、見る者が望む姿だ。
今の日本には、「すてきな日本」を望む人がたくさんいる。

でもそれは、意識的にせよ無意識にせよ選びとった情報であって、「みんなが共有する真実」ではない。
真実が含まれていることもあるけれど、別の真実を抱えている人もいる。
そもそも自分にとって重要なテーマが他の人にとっても重要だとは限らない。


甘美な「望みの姿」は視野を狭くする。
それでなくたって視野に入るものより入らないものの方が多い。
見えない部分の広さを知らず、自分に見える部分だけが真実だと思い込むことはあやうい。

望みの鏡に映るものは前に立つ人によって違う。
だから、鏡に真実が映ると思い込んだ人同士は話が通じない。
鏡に映ったごくごく小さな世界は、外の人には通用しない。

観測範囲の限界を確認し続けることが、望みの鏡にとらわれないための方策なんだと思う。
そのためには自分とは違う現実の人とかかわるのが一番てっとりばやい。

ハリー・ポッターと賢者の石 (1) -
ハリー・ポッターと賢者の石 (1) - NOヘイト!  出版の製造者責任を考える -
NOヘイト! 出版の製造者責任を考える -
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2015年01月17日

アルコ『俺物語!!』(7) Aセク読み

超男前高校生が主人公の少女漫画。
男前というか「漢」というか「おのこ」というか「アニキ」というか。
少女漫画なのに主人公がごつくて暑苦しい野郎な異色作品。
その7巻がAセク的に面白かったです。
恋愛ものなのに恋愛向きじゃない人を無視せず描いてくれていて嬉しかった。

俺物語!! 7 (マーガレットコミックス) -
俺物語!! 7 (マーガレットコミックス) -


以下ネタバレ。



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ラベル:セクマイ読み
posted by ヒギリ at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評みたいなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月10日

日本語乱打

紙パックの野菜ジュースをもらった。
原材料名を読みながら飲んでたら、材料が野菜の部と果汁の部にわかれていた。
原材料は重量の多い順に表示される。
この商品は果汁合計よりでは野菜合計のほうが多いらしい。
でも合わせちゃうのっておかしくない?
たとえば野菜51%(ニンジン25%、砂糖大根20%、その他野菜6%)、
果汁49%(りんごジュース40%、その他果物9%)
だったら、実はリンゴジュースが一番多いんだけど野菜が先に表示されることになっちゃわないかな。
これは私が今適当に考えたパーセンテージだけど、実際のところ何がどれくらい使われているんだろう。

テレビをつけたらジョニーデップの映画のCMやってた。
ちょびヒゲがどうたら。いやこれカイゼルヒゲだよね。
ちょびヒゲってヒトラーとかチャップリンとかのあれだろ。

スーパーで豆せんべい買った。
レジの人に「ポイントカードはお持ちじゃなかったですか?」と言われた。
え?なに?「持ってる?」って聞かれたの?「持ってない?」なの?
正答は「はい」なの?「いいえ」なの!?
あ、「持ってません」でいいのか。と気づくまでに数秒かかった。
なんか「はうぃえ?」みたいな変な声でた。
「お持ちですか?」って言って欲しかったな。

豆せんべい食べた。
パッケージに「歯こぼれのいいお菓子です」と書かれていた。
はこぼれ?
刃こぼれというとあの「これだけの敵を相手にして刃こぼれひとつないとは…お侍さん、あんた相当な手練だね」「拙者、頭突き専門でござる」といった使い方をするあの刃こぼれではないの?
百歩譲って歯こぼれという言葉があったとしてもそれは歯が欠けてしまうとかそういう意味になるのではないだろうか。

よく使う道に喫茶店があって、ちっちゃい黒板の手書き看板を出している。
今日のおすすめは苺のなんちゃらで「旬を先取り!」って書いてあった。
まって!先取りしちゃったら旬じゃないよ!
ちなみにこの前は「焦がしキャラメルのなんちゃら」だった。
カラメルってざっくりいうと砂糖を焦がしたやつじゃないのか。よくわからん。


だからどうってこともないんだけど。
言葉につまずいて頭がとまっちゃう自分の性質が面倒くさい。

2015年01月06日

教え育てる

しばらく前に新聞で「子供と楽しむ料理」みたいな記事を読んだ。
おもしろく形をつくって子供といっしょにかざれば興味も持たせられますとかなんとか。
実践しているご家庭の描写では、材料をぜんぶ準備したおかあさんが子供にさあ盛りつけようねと声をかけていた。
ぜんぶできあがった鍋に、成形済みの飾りをのせるだけの「おてつだい」。
これが「優良な食育」みたいに描写されていることに驚いた。
だって子供11才だよ。3才じゃないんだよ。
11歳なら切ったり焼いたり混ぜたり煮たりできるだろ。教えさえすれば。

別の日。子供が大きくなったから働くことにしたの、というパートさんとおしゃべりした。
小学校低学年の子とお兄ちゃんがいるそうで、冬休み中は昼ごはんを用意して出勤していると話していた。
あぶないから鍵は持たせていない。火も電気ポットも使わせない。大きい魔法瓶にお湯を用意しているという。
過保護だとは思ったけど人んちのことだし今時の子育て事情はそんな感じなんだろうかと思いながら聞いていたら、お兄ちゃんが大学の模試でどうのという。
え、お兄ちゃん小学生じゃないの!?高校三年生なの!?それで鍵もコンロも使えないの!?その子だいじょうぶなの!?
なんかもう理解できない。

去年読んだ闘病記では、生死をさまよう入院をして死にかけた母親が、無理は禁物の退院後によろよろしながら命がけでそうじをしてた。
こちらも子供は5年生。そんなになにもかもしてあげなくたって、やりかたを教えてあげれば自分の身の回りのことくらいできる年齢だ。
自分が子供だったら、そんな風に蚊帳の外でおかあさんが無理するのをながめるよりも、頼ってくれた方が嬉しい。

自分を犠牲にしてなにもかもしてあげるのって一見「愛」っぽいけど、なにもできない子供を作るのは優しい虐待でしかない。
家事はスキルだけじゃなくて習慣だから、それが身についていないと本人が困る。
スキルはともかく習慣を大人になってから身につけるには労力がかかる。
それになにもさせずにいると、「お前にはなにも期待していない」「お前には何もできない」というメッセージを与えてしまう。
そういう風に思わなかったとしても、それはそれで「してもらって当然」と考える子供になってしまう。
どちらにしても子供のためにはならない。

『断ち切らないで』だったか、貧困層の家庭の話の中に、この辺の子は親が忙しいから小学校低学年でご飯を炊ける子も珍しくない、という話があった。
子供が子供でいられない状況は、それはそれで問題があるんだけれども、自分で考えて動く訓練がされていない子は大人になった時に確実に困る。


そんなことを考えてもやもやしているときに、石井桃子が1956年に書いた『においのカゴ』というおはなしを読んだ。
おかあさんが病気でたおれて、おとうさんと中1と小5の子供たちはまんぞくに家事をこなせないから家の中がぐちゃぐちゃになる。
で、たずねてきたおかあさんのねえさんに「おかあさんをこんなところで寝かしておいていいの」と怒られる。
おかあさんも「あんたの教育方針がまちがってるのよ」と怒られる。
おかあさんはたしかにそうだ、人間いつ死ぬかわからないのに、こんなに何もできない人たちを残していくなんて…と思う。
そうか、昔からか。今時だからこうなるんじゃないんだな。
ただ貧乏だと子供を遊ばせておく余裕がないから昔は動けない子供が今より少なかっただけか。
だれかひとりが無理すれば回っちゃう程度の余裕がある状況では、意識して働かせないと働けない子になっちゃうんだなと思った。


断ち切らないで―小さき者を守り抜く「子どもの家」の挑戦 -
断ち切らないで―小さき者を守り抜く「子どもの家」の挑戦 -
においのカゴ -
においのカゴ -
posted by ヒギリ at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 子ども・教育・不登校とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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